いしかわ文化の日
いしかわ文化の日 詳細
- 美術
前田家の甲冑・陣羽織
前田家の家風は文武二道であり、特に「文による武」に大きな特徴がありますが、そうした姿勢をわかりやすく伝えることができるのが、「文を内包した武」としての甲冑・陣羽織ではないでしょうか。
特に、加賀藩主が身につける甲冑・陣羽織は、百万石大名のステイタスを示すものであることから、形状や材質は入念に吟味されています。それは工芸品といってもよいレベルですが、加賀藩主・前田家の場合は、そもそも武具の製作やメンテナンスを行う工人集団が、調度としての工芸品の制作にも携わっていたことから、必然的に甲冑・陣羽織の美術的完成度が高いというわけです。
そして、甲冑・陣羽織の「美」には武運長久を願う切実感があります。もちろん、今回展示されるのは実戦で用いられたものではありませんが、前田家と徳川家は幕末に至るまで緊張関係にあったことを思い起こせば、単に儀礼的・装飾的な甲冑・陣羽織は作られなかったのではないでしょうか。