いしかわ文化の日
いしかわ文化の日 詳細
- 美術
令和3年度春季特別展「小原古邨-海をこえた花鳥の世界-」
金沢出身の絵師・小原古邨(1877~1945)。身近な自然が見せる一瞬の美をとらえた作品は、制作当時から海外で高い人気を誇り、近年国内でも注目を集めています。
明治10年に誕生した古邨は、花鳥画の名手・鈴木華邨(1860~1919)に師事。アーネスト・フェノロサの指導を受け、明治後期には版元・松木平吉のもとで花鳥版画を手掛けました。古邨の優れた表現力と、江戸時代以来培われた彫師・摺師の高度な浮世絵版画技術。それらが融合して生み出された繊細な作品は、多くが欧米にわたり現地の人々に愛されました。
そして大正末期頃からは、祥邨の号を用い、新版画の提唱者・渡邊庄三郎のもとで、作品を発表するようになります。華やかな彩色とモダンな画面構成が印象的な作品は、同時代のアメリカやポーランドなどでも展示され、大きな反響を呼びました。
本展では、浮世絵蒐集家・原安三郎のコレクションにかかる明治期の作品に加え、ご子孫が大切に保管されてきた大正・昭和期の作品もよりすぐり、その画業の全貌を紹介します。あわせて、近代金沢の美術工芸品や師・華邨の作品から古邨のルーツを探るとともに、当時の美術動向を伝える豊富な資料を読みとき、古邨作品の海外受容の裏側に迫ります。