いしかわの文化ギャラリー
いしかわの文化キーワード
オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)
東京都出身。通っていた幼稚園でピアノに触れ、小学1年生の時からヴァイオリンを始める。1988年桐朋学園大学音楽学部を首席卒業。89年同学研究科を修了。88年ボストン響より全額奨学金を得てタングルウッド音楽祭に参加。91年イタリア・キジアーナ音楽院夏期コースに奨学金を得て参加、ディプロマ名誉賞を取得。89年よりオーケストラ・アンサンブル金沢団員。94年からコンサートマスターを務める。リサイタル、室内楽などの演奏活動、CDの録音も行うほか、石川県ジュニアオーケストラなど後進の指導にも意欲的である。
「今日は何をやっているんだろう」。
気軽に音楽堂をのぞいてみてください。
- オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)は、1988年の設立から約30年間にわたって活動を続けてきました。
コンサートマスターである松井さんから見たOEKの特色について教えてください。 - OEKは、世界的指揮者の岩城宏之さん(1932年〜2006年)の提案で、国内初のプロの室内オーケストラとして発足しました。100人を超える団員を抱えるオーケストラもある中、OEKのメンバーは40人で、この規模だからこその機動力と生まれる音色が特徴で、石川県内はもちろん、国内外で数々の公演を行っています。その数は年間約100公演にもなります。
- 中でも、活動の拠点となっているのが、金沢駅すぐそばの石川県立音楽堂ですね。
- そうです。2001年に開館した石川県立音楽堂のコンサートホールで、定期公演をはじめとしたコンサートを毎月のように開催しています。普段の練習もコンサートホールで行っていますが、実は本番と練習を同じ舞台で演奏できるオーケストラは珍しいんですよ。私たちは、大きさや響き方など会場に合わせて音をつくっています。OEKの本拠地である石川県立音楽堂の公演は、練習でつきつめた音をそのままお客様に楽しんでいただける点も魅力です。
- 初代音楽監督でもある岩城さんは真に一流のオーケストラを目指し、地域や国籍に関係なく優秀な演奏者を集めたと聞きました。
- 確かに、OEKメンバーは国際色豊かですよ。アメリカやスロバキア、フランス、イギリスなど、日本を含めて10カ国の人で構成しています。また、発足当初に入った私たちの世代を中心に、年齢層も幅広くなっています。
- 松井さんはOEK発足直後の1989年4月に入団され、以来、オーケストラの一員として活動されています。
長年にわたって石川県内でクラシック音楽にかかわる中で、県民の意識などに変化は見られますか。 - 私は東京出身で、OEKメンバーとなって金沢に移り住みました。当時と比較すると、クラシック音楽と県民の皆さんとの関係は間違いなく深まっています。特に、石川県立音楽堂開館後は、OEKの演奏も大きく成長しましたし、県民の皆さんがクラシック音楽に触れる機会も格段に増えたと思います。
- 県民の生活にクラシック音楽が浸透しているんですね。
- ただ、今はまだ片足がかかった状態です。クラシック音楽が“文化”として根付くためには、オーケストラが特別な存在ではなく、生活の中にあって当たり前のものにならなければなりません。もちろん、それは一朝一夕でできるわけではなく、ヨーロッパのように長い歳月をかけて築いていくものだと思います。OEKにとっても、よりよい音を目指して走り続けたこれまではまだ、第1段階と言えるでしょう。つくってきた音を次の世代につなげるのが第2段階で、それを繰り返すことでオーケストラの伝統が築かれていきます。
- 最後に皆さんにメッセージをお願いします。
- もしかしたら、クラシック音楽に敷居の高さを感じておられる方もいるかもしれません。決してそんなことはなく、気構えずにまずは耳を傾けてみてください。「今日は何をやっているんだろう」と、気軽に石川県立音楽堂の扉を開け、オーケストラの音を楽しんでいただければうれしいですね。
- リンク
- オーケストラ・アンサンブル金沢
- 不許複製・無断転用禁止
- 本サイト掲載内容を無断で転載・使用することを禁じます