豊かないしかわの文化豊かないしかわの文化

多彩ないしかわの文化資源

加賀料理

治部煮
治部煮
鯛の唐蒸し
鯛の唐蒸し

「加賀料理」は昭和32(1957)年、文人・吉田健一氏(吉田茂元首相の長男)が、石川県を取材で訪れた際に初めて使った言葉とされています。

加賀料理の特徴の一つとして、料理と器が織り成す絶妙な調和が挙げられます。四季折々の海山の食材をふんだんに使った郷土料理が、長い歴史の中で大陸から伝わった交易品や文化を取り入れてさらに魅力を増し、優美な蒔絵を施した漆器や色鮮やかな陶器に彩られ、この地ならではの独自性と文化性、「もてなし料理」としての洗練性を備えたものとなりました。

「加賀料理」はまさに、加賀百万石の歴史と伝統が生み出した石川ならではの食文化と言えます。

発酵食文化

かぶら寿司
かぶら寿司
フグの卵巣の糠漬け
フグの卵巣の糠漬け
杜氏(とうじ)の酒造り
杜氏(とうじ)の酒造り

石川県では、冬の適度に低い気温や降雪、高温多湿の夏、白山水系の清流や肥沃な加賀平野といった独自の自然と風土を背景に、発酵技術が発達しました。醤油の産地や日本酒の蔵元が点在し、「いしり(いしる)」や「かぶら寿司」「こんか漬け」など、数多くの発酵食品があり、日本でも有数の「発酵食品王国」の地位を築いています。

それらの中には冬場をしのぐ保存食として発展してきたものも多く、例えば「フグの卵巣の糠漬け」には、保存性を高めるとともに、独特の味わいを演出する雪国が育んだ生活の知恵が見られます。

また、海上交易によってもたらされたものもあり、ニシンやフグ、イワシなどの糠漬けが多く作られていますが、これらは北前船が運んできたニシンなどを糠につけて保存食にしたのが始まりとも言われています。

茶の湯

四季折々の風趣ある和菓子
四季折々の風趣ある和菓子
茶会
茶会

加賀藩では、藩祖前田利家が千利休や織田有楽斎に茶の湯を学び、三代前田利常は小堀遠州ら当代きっての茶人と交流し、茶の湯の指導とともに、格調高い美術工芸の収集や職人の育成に力を入れました。その後の歴代藩主もまた、茶の湯を通じた文化奨励策に取り組みました。

このような歴史背景のもと、大樋焼や寒雉釜(かんちがま)などの工芸品が誕生し、茶の湯に欠かせない和菓子も発展しました。城下町金沢は、同様に古くから茶の湯の文化が発展した京都、松江と並び、今日でも和菓子どころとして知られています。

兼六園周辺文化の森

石川県立歴史博物館(金沢市)
石川県立歴史博物館(金沢市)
石川四高記念文化交流館(金沢市)
石川四高記念文化交流館(金沢市)

「兼六園周辺文化の森」は、兼六園を中心とする半径約1㎞の範囲の中に、藩政期から近代に至るまで各時代の歴史が重層的に集積する石川県を代表する緑豊かな文化空間となっており、数々の文化施設や公園緑地が整備されています。このエリアは常に政治や教育、文化の中心地として発展してきており、兼六園、金沢城、成巽閣(せいそんかく)など江戸時代の武家文化と、それ以来受け継がれてきた伝統文化を味わうことができるほか、歴史博物館、石川四高記念文化交流館など、明治、大正期のモダンな建物を通して、当時の金沢の歴史と郷愁を堪能することができます。

石川県では、この兼六園周辺文化の森を、「にぎわいと交流」の拠点と位置付け、金沢城公園の復元整備をはじめ、県立美術館・歴史博物館・石川四高記念文化交流館のリニューアルや各文化施設を回遊できる遊歩道の整備を行ってきました。さらに、各文化施設での展覧会や施設間で連携した文化イベントの開催などを通して、この地にしかない風情と活気を演出しており、文化の創造と交流、ふれあい空間としてエリア全体の魅力を高めています。

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